ハワイアンセンターオープンの日をよく覚えている。
すごい人だった。
緊張はしなかったが、あまりに大勢で、人が蟻のようにステージから見えた。
「すごい人だね」。
そんな話をほかのダンサーとした。
ショーの途中で着替え室に行くのに、
人だかりで前がふさがれてしまい大変だった。
たぶん、オープンして2、3年だったと思う。
ステージで踊っていて、双子のダンサーの1人のみののホックが外れてしまった。
すかさず彼女は何事もなかったようにさっとステージを下がり、パニックにならずに済んだ。
もうそのころになると、そんな風に対応できた。
それからは必ず、ホックを点検してステージに出た。
ショーのリハーサルのある時、中村豊社長が必ず見に来てくれた。
「お前たちは栄養をつけなければならない」
と、東京からわざわざ牛肉を取り寄せ、金曜日のお昼はいつもすき焼きだった。
東京の本社を訪ねた時にはステーキを振る舞ってくれ、
「お前たちはこれから、いろんな人と接する。フォークとナイフは使えるようにならないと」
と話した。

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