バレエが好きだった。
「バレエを習わせてほしい」。
そう母に話したが「あんなお嬢さまみたいなことはできない」と、あっさり言われた。
中学3年生の時だった。だから舞踊学院でのバレエのレッスンは楽しかった。
炭砿で生まれ、炭砿で育った。
ある日、近くに住んでいたおじさんがドレス姿の女性
とおへそを出した女性のパンフレットを持って訪ねてきた。
「こういうのがあるんだけど」。
中学を卒業したら何か身につけたいと考えていた。
「わっ、きれい」
と思ったが、母は反対した。
それでもティーナ早川さんのドレス姿に賛成してくれた。
1期生は18人。
そのうち一番年下のわたしたち15歳は6人いた。
寮生活をしながら、歴史、英会話、舞踊史などを勉強して、
あとはクラシックバレエ、ハワイアン、タヒチアン、フラメンコのレッスン。
「きょうはどういうことを教えてもらえるのか」
と思って、わくわくした。
とにかく夢中で、周りがみえなかった。
早川先生(ティーナ早川さん)は友達のような先生だった。
香取先生(香取希代子さん)は雲の上のような人。
先生たちは私たちの前で決して踊らなかった。
ある時、レッスン室のドアのすき間から、
先生が1人踊っているをのぞき見したけれど、それはすてきだった。

img_519f6e817fff9b36c4b0503b6d5dc4c795525