青春の時～前篇～

バスガールをしていた。
路線バスに乗ってお客さんに切符を売り、狭い道などでは運転手を誘導した。
夏になるとバスは海水浴客でごったがえした。
バスガールになって2年ほど経った時だった。
「フラダンスの踊り子になったらいいんじゃないか」。
父親に言われた。バスガールの仕事が嫌だったこともあって、
勧められるまま何もわからず面接、水着審査を受け、
寮に入って常磐音楽舞踊学院1期生の生活が漠然と始まった。
踊りのレッスンはまず、クラシックバレエから始まった。
それまで踊ったことなどなかったから、基礎を覚えるまでつらかった。
みんな上手になりたくて、レッスン後もそれぞれ個別に練習した。
バレエで体をほぐして、それからフラダンス、フラメンコも学んだ。
フラダンスは民族舞踊。
でも周囲の人々になかなかそう理解してもらえず、
「尻振りダンス」「へそ出しダンス」
などとバカにされた。
そんな状況を知ってか、先生たちには
「プライドを持ちなさい」とよく言われた。