タテジマキンチャクダイ(縦縞巾着鯛、エンペラー・エンジェルフィッシュ)は、
スズキ目スズキ亜目キンチャクダイ科に属する魚。全長40 cm。
幼魚と成魚とでは、まるで別種のように色彩や模様が違うが、食性は変わらない。
幼魚は濃紺の体に白い同心円状の模様が入る。
(模様の入り方が渦巻のように見えるため「ウズマキ」と呼ばれる。
成魚は青地に多くの黄色い縦縞が入る。
(名前の由来は頭を上にするとタテジマになる。ヨコシマではない。
また、通称「タテキン」と呼ばれる。模様が変わる途中のものを「ウズキン」と呼ばれる。)
ヤッコの仲間は、自分の縄張りから配偶者以外の成魚を追い出す。
(幼魚同士でも縄張り意識があり争うこともある。基本的に幼魚は単独でいる。)
幼魚は、成魚と違った模様を持つことによって縄張りに入っても攻撃されない。
(模様をかえることで成魚に対しライバルでないことを表している。)
幼魚は、成長して成魚の模様が出始めるとライバルとみなされ、攻撃を受けるようになるという。
このような習性のため、成魚は群れはつくらずにペアー又は、単独で行動する。
えらの下には、成魚・幼魚ともに鋭いとげがある。
(これはキンチャクダイ科の特徴でもあり、この種類には必ず1対ある。オスと思われる個体には2対あり2対の内1対は短めである。)
食性は雑食性で、主にカイメン類やホヤ類などの動物質のほか、海藻などの植物質のものを主食としている。
(このほか、プランクトンやサンゴのポリプなども口にする。)
成魚と幼魚とで模様の違いがあるわけ
主に外海の岩壁の穴や割れ目などで観察される。
また、本州で見られるのは黒潮に乗って流れ着いた幼魚のほうで、成魚はめったに見られない。
やはり、ほかのチョウチョウウオなどの南方系の魚と同じ死滅回遊魚であり、
水温が急に下がる1月ごろから死んでしまうため、見られなくなる。
沖縄などでは普通種であり、サンゴの根や割れ目などにいる。
意外と狭いところを好む。
太平洋(イースター島を除く)、インド洋、相模湾以南の潮溜まりや浅い岩場の沿岸などで見かける。
キンチャクダイ科では最も生息範囲が広い種の1つである。そのため、地域により個体差がある。

観賞用の熱帯魚として人気が高い。
毎年、本種はさまざまなサイズが入荷されている。サザナミヤッコと本種は最もポピュラーな魚である。
飼育された個体も野生種と同様模様の変化を観察できる。
このためか成魚より幼魚・稚魚のほうが人気があり、入荷量も多い傾向がある。
成魚はサイズが大きい上、餌付けにくい、水槽環境になれにくいなど難しい。

ダイビングをする人にも人気があり、特に夏期、黒潮に乗って伊豆半島や紀伊半島で現れる稚魚はかわいらしさなど人気がある。
12月まで水温が高いためか見られる。主に外海の岩壁の穴や割れ目などで観察される。
しかし、チョウチョウウオに比べ見られる確率は低い。

タテジマキンチャクダイ